BOSSもギター作るってよ – EURUS GS-1は次世代ギターシンセサイザー
こんにちは、ギター女です。
BOSSが9月にギターシンセサイザーを発売するようですね。その名もEURUS GS-1。
以前MOOERがスマホから音をいじれるギターを出したってニュースに飛びついた記事を書いたんですけど、まさかBOSSさんまでそこまで間を開けずスマホ接続ギターを出すとは思いませんでした。
ほぼ同時期にスマホアプリで音作りできるギターが発売とは。しかも両方エフェクターメーカーだよ。ギターメーカーじゃないよ。
そんな感じで、勢い溢れるエフェクターメーカー達によるスマホ接続ギター戦国期といういろいろ予想外の時代が到来する兆しを見せていますが、果たしてGS-1はどんなギターなのか。そしてMOOERのGTRSとこのBOSS GS-1はどう違うのか、そういうとこも踏まえつつこのBOSSスマホギターについて書いていこうと思います。
BOSS GS-1のスペックについて。
まずBOSS GS-1はどんなギターなのか。
BOSSの公式WEBサイトと公式の紹介動画を覗いてみました。
ロゴが手描き調フォントなのが非常に可愛いですね。黒一色のマットなボディがモダンな印象。
ボディはダブルカッタウェイで指板は24フレット、ハイポジションに行くにつれフラットになるコンパウンド・ラディアス仕様。ハイポジガンガン弾いてくださいって仕様ですね。
PUはハムバッカー2つで5way。タップでシングルPUになるところが機材好きの心をくすぐります。こういうの好き。
GOTOHのチューナーとブリッジでアームプレイ時の安定感にも配慮されてるようで、ギターとしても性能が良さそうですよね。
面白いのが、ギターとシンセのアウトで二つのアウトプットがあること。これは工夫次第でいろいろできる予感がします。
曲ごとにギターサウンドとシンセサウンドを切り替えてあげてもいいですけど、ギター側はギター側でマルチに繋いでやって一本で変態二刀流とか。切り替えを駆使すれば一つのリフから無数のハーモニーが生まれたりするんじゃないかなとか。妄想膨らむところです。
公式ページだとシンセモードとギターモードをシームレスに切り替えられますと書いてありますが、二つの音を同時に出すことは可能なのかがめちゃくちゃ気になります。同時に出せれば世界はすごい広がると思う。

内蔵シンセは単三電池4本で動くようですが、なんとアダプターからも給電できるようです。これは地味にうれしいですね。私もKORGのRGKP6というエフェクト内蔵系ギターを持ってますけども、電池駆動なのでライブ中電源が落ちないかヒヤヒヤしてしまいます。電池を信用してはいけない。
しかし以前酒の席で「内蔵エフェクター用電源ケーブル、エフェクトのセンドリターン、ギターのアウトがステレオLRであとペダル用アウトとヘッドホンアウトとMIDIのアウトがある、タコみたいに山ほど線が出てるギターがあったらおもろいなあ」みたいなことを友達に語ったことがあったのですが、このギターも電源ケーブルに2OUTとなかなか線が多いですね。
シンセとエフェクトという違いはありますが、タコ足ギターはそこまで馬鹿げた話じゃないのかと思ってしまいます。今の時代だったら無線で飛ばせば終わりだと思うけど、そこはロマンです。
MOOERのギターと似てる点、違う点。
先述したとおりこのGS-1のシンセの音色はスマホ用の専用アプリで作り込めるようで、ワイヤレスのフットスイッチと組み合わせることもできるようです。ワイヤレスのフットスイッチといい、MOOERでも聞いた話がちらほらと。
ただ、このBOSS GS-1には本体にSYNTH CTLノブなるものがあるらしく、好きなパラメーターをリアルタイムにコントロールできるようです。
これはうれしいです。シンセといえばライブ中パラメーターをいじりたくなるもので。そうなったときいちいちスマホを取り出してたら、ライブ中ことあるごとにお客さんと自撮りをするパリピDJ感が出てしまう。
本当に使用者のことをよく考えてるというか、ギターとしてもシンセサイザーとしても細かい点まで行き届いた楽器だとおもいます。
それもそのはず、というか。
KEY楽器サイトでのお値段242000円。
わりとする。
飛び道具とかおもちゃですまない値段する。
MOOERのスマホ接続ギターはブログでも触れた通り、おそらく初心者が気軽にいろんな音を楽しめる楽器、というコンセプトなんだろうなと思うんですよ。クラウドファンディングでの値段も6万ちょいだったので本当一本目にほどよい感じ。
ただ今回のBOSSさんの24万円はセミプロが買うギター並というか、明らかに初心者向きギターの枠飛び越えてますからね。
正直私が持ってるどのギターよりも遥かに高いよ。
私のような安ギター弾きにはちょっと戸惑うこのお値段、そういった高いギターを購入するようなガチ勢を唸らせるような、おそらくギターそのものとしてのクオリティにも自信があるのだと思います。単なる変態おもちゃですまないような、ライブで演奏して満足できるクオリティなんじゃないかなあと。
そしてMOOERのギターはあくまでエフェクター内蔵のギターですけどもこちらはギターシンセサイザー。出せる音の幅は比じゃないはずです。
ギターシンセサイザーはギターの出音が関係ないので、音色は本当なんでも出せます。ギターでピアノの音だって出せます。需要があるかは置いといて。
BOSSさんってスタンダードな顔をした変態系メーカーさんだと思ってますので、GS-1用アプリには高品質なモデリングの影にこっそりととんでもない変態サウンドを忍ばせてくれていると信じています。
ここで終わろうかと思ったのですが、そもそもギターシンセサイザーとはなんぞやみたいなのをつらつら書いてたら止まらなくなったので続きにつけときます。読みたい方はどうぞ。
BOSSとギターシンセサイザーの今まで。
今回のギターシンセサイザーはスマートフォンで音をいじれるというのが大きな特徴ですけど、スマホどころか携帯がない時代から、BOSSはギターシンセサイザーはいろいろ作っていました。BOSSというかRolandですね。
世界最初のギターシンセサイザーGR-500もRolandが作ったものでしたし、BOSSとギターシンセサイザーは非常に歴史の深い関係なのです。
私の大好きAdrian BelewもRolandギターシンセサイザーを使っていました。若きAdrian BelewがGR-300のデモ演奏をしてる動画なんてのもあります。
GR-300は世界初のポリフォニックギターシンセサイザーです。和音が弾けます。
この動画でもハモらせてみたりフルートみたいな音を出したり、ギターの原音と混ぜてみたり、みていて非常に楽しいです。
動画でブリューが弾いているのはG-505とGKピックアップをのせたムスタングです、このペイントされたムスタングが非常に可愛くて可愛くて…。
GKピックアップもG-505もあくまでコントローラーで、シンセサイザーの音は足元のGR300から出ています。
GR-500もですけど、シンセサイザーは外付けの音源部分のことです。ギター本体はギター型コントローラーで、音はあくまでシンセサイザーから出ています。ギター本体のフレットやらPUやらから信号を拾って、シンセサイザーを鳴らすわけですね。
最初のGR-500こそフレットをスイッチにするタイプでしたが、GR-300以降は専用のPUから弦の振動を拾ってシンセサイザーをコントロールするタイプが主流となりました。
私も後付けピックアップタイプのGK-3と、その専用エフェクターであるGp-10GKをギターの師匠が使っているのをみて憧れたものです。


このGP-10GKの上にZOOMのG5をさらに繋いでわけわからん音になってましたね。そこに痺れて憧れていましたよ。
思い出話で脱線しましたが、ギターシンセサイザーって呼ばれるものはこういったシンセサイザー+ギターコントローラータイプ(以下コントローラー型)と、ギターの音にエフェクトをかけてシンセ音を出そうというエフェクタータイプ(以下エフェクター型)と、大まかにこの二種類が混在していると私は思います。
ベースシンセっていうときは尚更、エフェクター型のものを指すことが多いですね。スラップやソロにかけると美味しい、万能スパイスみたいなフィルター系エフェクター。
本当にアナログシンセとみまごうような、ぶっとい音がたまらないですね。
ベースシンセは結構定番のエフェクターで、シンセと名の付くフィルター系。ただ私にとってのギターシンセはエイドリアンブリューのようなギター型コントローラー+シンセサイザー。
この認識のずれのせいで、ベースプレイヤーの人とギターシンセについて話してたときアンジャッシュのコントみたいになったことがあります。
「ギターシンセっていろんな音がだせて楽しいよね」
『わかるー』
「でもちょっと準備が面倒だよね、PU差し替えたり」
『えっ』
「えっ」
みたいな。
そんな感じでギターシンセサイザーっていわれると私は前者を想像します。
でも後者もそれはそれでめっちゃ好きなタイプのエフェクターでして、ギターの細かいニュアンスを生かしつつすごい面白い音が出せるエフェクターがいっぱいあります。
例えば最近ちょっと気になるPIGTRONIX RESOTRON。

音がすごいまん丸な音してて可愛いんだ。
弾き慣れたギターでシンセを鳴らすか、ギターの音色を生かした変な音を出すか。ギターシンセサイザーはコントローラー型もエフェクター型もどっちも楽しい機材だと思います。
ただコントローラー型かエフェクター型、この二パターンしかないかと言われると難しくて、例えばBOSSは他にもSY-300みたいなシンセを出してましたけども。

エフェクターと見た目や使い方はほぼ変わらないのに音はガッツリとシンセサイザーという、弾く側にも聞く側にも何気ない違和感を振りまくタイプの機材。好き。
このSY-300、ピックアップを使わないギターシンセサイザーという触れ込みで、弦の振動をピックアップを通すことなく拾える謎の技術を搭載!加えて通常のギター信号をフィルターやらエフェクトで加工できる機能も搭載!なんて、さっき挙げた二つの型のいいとこ取りでしょうか。
ここまでくるとどういう仕組みなのやら、シンセサイザーなのか超高性能マルチエフェクターと呼ぶべきかさえ私にはわからない域です。
話は逸れましたが、コントローラー型にしろエフェクター型にしろ、足元にゴツめのエフェクターを置くというのが今までのギターシンセサイザーのイメージでした。
しかし今回のEURUS GS-1は他に機材をつなぐ必要すらなく、ギターそのものがシンセサイザーだよという。ギターの信号をピックアップで拾っているようなのでコントローラー型に近いのでしょうけど、音源も中に組み込まれているので非常にお手軽。レイテンシーのなさも信号の正確さも非常に良いのではないかと思います。
何度もいいますがMOOERのギターはあくまでエフェクター内蔵ですけどもこちらはギターシンセサイザー 。出そうと思ったら本当どんな音でも出せるはずです。
しかもスマホアプリで音が常時アップデート可能、音色の数が実質無限なのだからこれは何が起きてもおかしくないというか。
ギターシンセサイザーは近年に慣ればなるほどアンプやギターのモデリングに力を注ぐようになっている印象があるのですが、せっかくのシンセだし超ぶっ飛んだ音を出せるようにして欲しいなー、なんて無責任に期待しつつ今日はこれまで。
読んでいただきありがとうございました。
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